旅の話

ヒューストンの救世主?スプーンビル

くちばしがへらのように長く愛嬌のある顔をしていて、大きなピンクの鳥はフラミンゴのようです。これはロゼッタスプーンビルといってアメリカ南部に生息する鳥です。

ヒューストンといえばよく聞くのは、“何もない”です。ヒューストンに赴任してきて、一度は親、親戚、仲のいい友達など興味半分に尋ねては来るものの、決まって「暮らしやすそうなところねえ」と言われ、2度目の訪問というのは、孫の顔見たさという以外にはごくまれです。大学時代カリフォルニアにいたころは何ヶ月に一回は親戚、友達、はては友達の友達、つまり初対面の人まで遊びに来ていましたが、ヒューストンに来て20年になりますが、歯医者の見学を除いてただ遊びに来た友達はいません。

しかし、このヒューストン、いまさら言うまでもなくとても暑いところです。日本で暑いといえば沖縄、沖縄といえば自然の宝庫です。観光するとこがない、友達が来てもこまるという目でなく、「では自然はどうだ」そういうやさしい目でヒューストンを見てみると、意外と結構あります、ここヒューストン。テキサスはアメリカで2番目に大きい州、自然もビッグです。まさに桁違いの大自然です。というわけで、今回はヒューストンで手軽に楽しめる大自然ガイドをお届けします。

その第一弾はHigh Islandのスプーンビルです。もしかしたらご覧になられた方もいらっしゃると思います。実際、僕が初めて見たのはI-10とハイウエイ6号の交差するところの公園です。大きなピンクの鳥が飛んでるのを見てここはアフリカかと思ったくらいの感動を受けました。くちばしがへらのように長く愛嬌のある顔をしてますが、ぱっと見はあのフラミンゴのようです。てっきり動物園から逃げたものかと思いました。しかし後でこれはロゼッタスプーンビルといって、ヒューストンなどアメリカ南部に生息する鳥だとわかりました。さらにはこの鳥はヒューストンからI-10を東に行きWinnieで下り124号を南へ走り、メキシコ湾の近くのHigh IslandのSmith Oaksという保護区で春には子育てをしているということがわかりました。ヒューストンからは車で1時間半、保護地区に入るのも5ドルくらいです。詳しくはwww.houstonaudubon.orgからHigh Islandを選び、Smith Oaks Sanctuaryをクリックしてください。

時期は3月、4月は巣作りなど、4月から6月ころは雛が見れます。巣作りは枝を集めて小さな島(湖の中の)に生えている木の枝にいわゆる鳥の巣を作りますが、サギと枝を取り合ったり、求愛をしてたりと結構面白いです。また雛が生まれると、盛んにえさを持ってきては雛にやっています。雛は全身薄いピンクです。かなり大きくなるまで親から餌をもらっています。水があればここヒューストンではワニがいるわけで、雛も巣から落ちるとワニにがぶりと食べられてしまいます。時にはおなかをすかしたワニが、ジャンプして水面近くの枝に止まってる親鳥を食べちゃうこともあります。このような大自然のドラマが目の当たりに見れます。どのくらい目の当たりかといえば、ほとんど動物園で見ている感じの近さです。車から降りて3分くらい歩き15段くらいの階段を上り湖の周りのトレイルに出て左に行けばすぐです。湖の中で目の前に小島がありそこにたくさんいます。双眼鏡はあればよりいいですが、なくても見れますし、この時期いつ行っても同じ場所で見れるので、探したり待ったりというわずらわしさはありません。とにかく動物園状態です。そしてこのスプーンビル大きくてとてもきれいな鳥なので見ごたえがあります。この時期はいつ行ってもプロのカメラマンが来て盛んに写真を撮っています。19世紀にはハンティングのし過ぎで一時は絶滅しかかった鳥でもあります。

ヒューストンから手軽に行けて子供も楽しめる上、いつも近くで見られるというのは野生動物の観察においてかなり珍しい状況です。日本ならばとっくに、出店が並び、金魚すくいに、綿菓子、風船釣りに、記念キーホルダーが出回り、スプーンビル饅頭、スプーンビルせんべいが所狭しと売られ、上を下へのおお賑わいというところですが、ここは静かな田舎町です。私も4歳の息子をアシスタントに、去年はかなり写真を撮りました。今年も子供をなだめすかしつつ、時には無視(?)しつつ、巨大なカメラで猛然と写真を撮っているメガネの日本人を見かけたら多分私です。だから、スプーンビル饅頭はまだしも、だれかせめて広島風お好み焼きの店でも出してください。そしてこの春、ご両親や友達が来られるならぜひ足を運んでみられてはいかがでしょうか。木の枝に鈴なりのピンクのスプーンビルを見ると“ヒューストンさんありがとう!”という気持ちにしみじみなること間違いなしです。また小さいお子さんを連れて行っても喜ばれます。ビジネスで接待に使えるかどうかは微妙なところですが。 もっとたくさん写真を見たい方、テキサス観光トラベルギャラリーを訪れてみてください。

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日本国内とだいぶ違う何かがあるテキサス。日本ではとてもじゃないけど経験できないようなところがたくさんあります。週末でも、ロングウイークエンドでも手軽に楽しめるところも多いです。南部アメリカの醍醐味を味わってください。なお、テキサス周辺のことも結構あります(笑)。