キーワードは冒険
冒険というと未開の地を進んでいく感じだと思う。実際には、やってはみたいけど、自分には到底無理だし、いまさらという感じで日常生活に追われてる人が多いのではないか。しかもその未開の地なんてすでに地球上にはないじゃん。Googleで探せば地球上どこでも見れるし、今どき誰も行ったことのないとこなんてないじゃん(実際それはほぼ当たっている)、ということおちつき、そのワクワクする気持ちを封印してるのではないか。
でもちょっと自分が子供だった頃のことを思い出してみよう。毎日がめくるめく冒険の連続ではなかったか?別に子供のころに北極点を犬ぞりで目指したり、エベレストに登頂した人はいない。ではなぜあの頃ワクワクしていたのか?それは毎日が自分にとっての冒険の連続だったからではないか。生まれて間もないころの赤ちゃんは、ある時自分の足を発見して、興奮する。自分で立ち上がって感動し、階段で初めて2階に上れば、これはもうエベレスト登頂くらいの感動だ。
例えば僕の記事の中にもあるが、アリゲーターガーの釣り。僕はこれを釣り上げるのに8か月くらいを費やした。確実に釣るには日本のテレビ番組“ダーウインが来た“にも出演したテキサスの名ガイド、キャプテンカークに頼めばたぶん1回で釣れるであろう。でもそれは観光であって冒険ではない。アリゲーターガーのいるところにモーターボートで連れて行ってもらい、道具もすべて用意してあり、餌をつけて針を投げ入れてくれ、食いついてきたら、絶対に針が外れないようにしてくれ、竿を渡してくれる。あとはリールを巻くだけだ。
確かに釣れるけど、どこがおもしろいのか?さらに帰りには”えーっとチップはいくらにすればいいか“など、考えないといけない。それより、アリゲーターガーのいるトリニティーリバーにカヤックで漕ぎ出し、いろんなことを自分で考えて、何回も逃げられつつ、テント泊までしてやっと釣ったときの喜びは格別だ。川のほんの一部でも、自分でカヤックで下り、テントを張り、アリゲーターガーを釣ることは、自分にとっては未開の地を進むのと同じくらいの冒険である。たとえその川は、テキサスの釣りキチがモーターボートで行き来していても、自分にとっては未開の地を、自分の力だけで進んでいるではないか。エベレストですら、マニュアルとガイドをつけ、観光として登れる今、あまり人のいないテキサスの自然を、ガイドなしに、自分の力と勘で、さまよえるのは、最高の冒険ではないか。テキサスは広い。自然のきれいなところはたくさんあるし、日本と違い、そんなところでも人がほとんどいないから、どこでもちょっとした冒険気分が味わえる。